利回りで一番重要な指標・全期間利回りとは?
水曜日 6
2020年5月6日|
利回りで一番重要な指標・全期間利回りとは?
目次
利回りだけで見るのは危険!?高利回り物件に潜む罠
不動産投資をする際に、多くの人たちが重要視することの一つに『利回り』があります。
『利回り』は、物件の収益性を見ることができるデータで簡単に言うと投資したお金に対して、どのくらいのリターンがあるかを表す数値で、投資の成否を考えるうえで利回りは重要な指標になります。
利回りが低い物件よりも高い物件の方が当然よいと思われていますが、実はそこには落とし穴も。
表面利回り(グロス利回り)
年間家賃収入÷物件購入物件価格×100=表面利回り
物件価格に対してどのぐらいの家賃収入が得られるのかを示す表面的な収益性を表す数値
インターネットや雑誌などに記載されている利回りは表面利回りであることが多い傾向です。
実質利回り(ネット利回り)
(年間家賃収入-年間支出)÷(物件購入価格)×100=実質利回り
実質利回りは表面利回りから経費を引いたものでより具体的な数値を割り出せます。
収益物件の実質的な収益力を見極めるのにきわめて重要な指標です。
表面利回りが高くても、それに対して毎月ランニングコストが大きいと、手元に残るお金が少なくなります。
全期間利回り(≒IRR・内部収益率)
全期間利回りは、以下の式を満たすIRRの数値です。
一見すると分かりにくい式ですが、考え方は意外とシンプルです。
分子のCFは
1.投資を開始したときの支払額(ローン併用の場合は自己資金額)
2.投資期間中の入金額(賃料収入から経費の支払いやローン返済した後の手残り額)
3.投資を終了するときの手戻り額(物件売却額でローンを完済した後の手残り額)
で構成されます。全期間利回りの算出式は、「1と、2と3が時間的な価値を考慮して均衡する利回り」を意味しています。
つまり、1の時点で支出した金額が、2と3の時点と金額で回収される(入金される)としら、何%で回るかの計算式です。
全期間利回りは、将来の賃料と売却価格にもとづくトータルの収益性を表す数値
将来の予測なので確定的な利回りではありませんが、合理的な手法で将来の賃料や売却価格を予測し、利回りを算出することで、こんなはずではなかった・・・といった失敗を避けることができます。
長期的な投資の場合、10年後、20年後には賃料が低下していることでしょう。
また、将来、物件を売却しようとしたとき、意外と安い値段でしか売れない可能性もあります。
投資家にとって必要な情報は、賃料が低下することと、物件の価値も下がっていくことを考慮したうえでの投資利回りのはずです。
全期間利回りは、それらを考慮したうえでの投資利回りです。
全期間利回りを利用することで、表面利回りだけでは見えない、将来を考慮した利回りを見ることができます。
簡単に言うと、表面利回りは今現在の見せかけの数値。実質利回りは今現在の総合的な数値。全期間利回りは今現在と未来をすべてひっくるめた数値。
つまりその物件を長期間所有することでどのくらいのリターンがあるかという最も具体的で有効な数値となります。
全期間利回りの変動要因
全期間利回りの変動要因は複雑です。
1.物件をいくらで購入するか
2.投資期間中の賃料はどのくらい低下しそうか
3.空室率はどのくらいか
4.運営費用はどのくらいか
5.ローンの金額や期間、金利の条件
6.投資終了時の物件価格
これらの要素が関係してきます。
高利回り物件に潜むリスクとは
都内の様々な不動産会社の営業マンが利回り、利回りと誇張しますが、利回りが高い物件にはそれなりの理由があり、利回りの高さは、リスクの大きさに比例します。
ここでは高利回りのワンルーム投資で起こりうる、リスクについてお伝えしていきます。
立地が駅から遠い
都心エリアでは、最寄駅からの距離は非常に重要です。
特にワンルームは単身者のニーズが高く、車やバスではなく電車利用がメインのターゲットとなりますので、駅から遠いとそれだけで賃貸需要は低くなり、家賃は下落する傾向にあります。
またローンを組む際には、最寄り駅まで徒歩10分までというのが多くの銀行の融資基準の一つで、徒歩11分〜になってしまうと、融資を受けられる金融機関が一気に減ります。(ただし、新宿駅・渋谷駅・東京駅などビッグターミナルであれば10分以上でも問題なし)
表面上だけ利回りの高い物件
一般的に営業マンが言う利回りの高い物件は、全期間利回りではなく表面利回りまたは実質利回りであることが多いです。
一見利回りが高く見えてもそれは表面利回りが高いだけで実質利回りで直すと管理費や修繕積立金が高く、所有するだけで必要経費がたくさん掛かってしまい投資対象とならないような物件も多数存在します。
さらに実質利回りが高くても、全期間利回りで見ると所有物件が将来的に家賃が下落するエリアで資産価値が下がり、高利回り物件を購入したと思ったのに10年後20年後に振り返ってみるとマイナスになっているということも起こり得ます。
家賃と同じくらい重要なのが管理費と修繕積立金でワンルーム投資で毎月必ず掛かってくる経費です。
マンションの築年数に比べて管理費や修繕積立金が安い場合も注意が必要です。
現時点では問題がなくても、将来管理費や修繕積立金の値段が上がることによって収益を圧迫する可能性があり、場合によっては、大規模修繕のために一時金を徴収されるケースもあります。
空室の物件(想定利回りに注意)
想定利回りという言葉はワンルームではあまり使わない(表面利回りとほぼ同じ)ですが1棟投資ではよく使われます。中古ワンルームの場合は基本、賃貸中物件のオーナーチェンジというのが多いですが、現状が「賃貸中」ではなく「空室」の物件は売主が想定家賃として賃料を自由に決めることができます。中には周辺相場と合わない高額な賃料を設定し高利回り物件として売りに出している物件もあります。
このような物件を購入しても周辺相場とかけ離れているので当然入居者はつきません。空室期間が続き、家賃を大幅に下げなければならないような事態になれば当初考えていた利回りより大きく下落してしまいます。
ワンルーム投資に大切なのは、物件が入居希望者のニーズに応えられるか。長期間にわたり、賃貸需要があるのかどうかが最も大事です。
そのために役立つのが、全期間利回りです。長期間保有してどのくらいリターンがあるのかを判断し、優良物件かどうかを見極めましょう。
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